この記事では、さくらのレンタルサーバーにFFmpegをインストールする手順を詳しく解説します。
以下の手順は、基本的なターミナルコマンドの知識があり、Unix系環境で実行されることを前提としています。
前提条件
始める前に、サーバーに必要なビルドツールや依存関係がインストールされていることを確認してください。
gcc
、make
、gmake
などのツールが必要になる場合があります。
ステップ1: FFmpegのダウンロード
FFmpegの最新バージョンを公式サイトからダウンロードします。
wget https://ffmpeg.org/releases/ffmpeg-7.0.2.tar.gz
ステップ2: アーカイブの展開
ダウンロードしたFFmpegのtarballを展開します。
tar xzvf ffmpeg-7.0.2.tar.gz
ステップ3: FFmpegディレクトリへの移動
FFmpegのディレクトリに移動します。
cd ffmpeg-7.0.2
ステップ4: 一時ディレクトリの設定
構成中に一時ファイルを処理するための一時ディレクトリを作成します。
mkdir ~/tmp
export TMPDIR=~/tmp
ステップ5: libfdk-aacのインストール
FFmpegでAACエンコードを有効にするために、libfdk-aac
をインストールする必要があります。
以下の手順でダウンロードおよびビルドを行います。
# 作業用のディレクトリを作成
mkdir -p ~/src && cd ~/src
# libfdk_aacのソースコードをダウンロード
wget https://downloads.sourceforge.net/opencore-amr/fdk-aac-2.0.2.tar.gz
# tarballを展開
tar xzvf fdk-aac-2.0.2.tar.gz
# 展開したディレクトリに移動
cd fdk-aac-2.0.2
# 構成とビルド
./configure --prefix=$HOME
make
make install
ステップ6: 必要なライブラリを使用したFFmpegの構成
libfdk_aac
のローカルインストールを含むようにPKG_CONFIG_PATH
を設定し、FFmpegを構成します。
export PKG_CONFIG_PATH=$HOME/lib/pkgconfig:$PKG_CONFIG_PATH
# 必要なライブラリを使用してFFmpegを構成
cd ~/ffmpeg-7.0.2
./configure --prefix=${HOME} --enable-gpl --enable-nonfree --disable-x86asm \
--enable-libx264 --enable-libx265 --enable-libvpx --enable-libfdk-aac --enable-libmp3lame \
--extra-cflags=-I${HOME}/include --extra-ldflags=-L${HOME}/lib
AACエンコードのみが必要な場合のFFmpegの設定
なお、私はFFmpegを使用してAACエンコードのみが必要だったため、以下のように特定のオプションで構成を行いました。
./configure --prefix=${HOME} --enable-gpl --enable-nonfree --disable-x86asm --enable-libfdk-aac
このオプションでは、libfdk-aac
ライブラリのみを有効にし、他の不要な機能は無効にしています。
これにより、必要最低限の機能でFFmpegを構築できます。
ステップ7: FFmpegのコンパイルとインストール
構成オプションを使用してFFmpegをコンパイルし、インストールします。
gmake
ビルドが完了したら、バイナリを手動でbinディレクトリにコピーしても良いでしょう。
install ffmpeg ~/bin
install ffprobe ~/bin
~/bin/
ディレクトリにインストールした場合、これをコマンドとして簡単に使用するためにPATH
を通す必要があります。以下の手順でPATH
を設定します。
# bashecho 'export PATH=$HOME/bin:$PATH' >> ~/.bashrc source ~/.bashrc
# zshecho 'export PATH=$HOME/bin:$PATH' >> ~/.zshrc source ~/.zshrc
ステップ8: ライブラリパスの更新
ローカルライブラリパスを含むようにLD_LIBRARY_PATH
を更新します。
echo 'export LD_LIBRARY_PATH=$HOME/lib:$LD_LIBRARY_PATH' >> ~/.zshrc
source ~/.zshrc
Bashを使用している場合は、次のコマンドを実行します。
echo 'export LD_LIBRARY_PATH=$HOME/lib:$LD_LIBRARY_PATH' >> ~/.bashrc
source ~/.bashrc
ステップ9: インストールの確認
インストールを確認するために、FFmpegのバージョンを確認します。
ffmpeg --version
インストールが成功している場合、FFmpegのバージョン情報が表示されます。
ステップ10: FFmpegのテスト
音声ファイルを含むディレクトリに移動し、ファイルの変換または処理を行うことでFFmpegをテストします。
ffmpeg -i example.m4a output.mp3
example.m4a
とoutput.mp3
を実際のファイル名に置き換えてください。
[注意] FreeBSD環境でのFFmpegバイナリの実行
さくらのレンタルサーバーはFreeBSD環境で動作しています。そのため、Linux向けにビルドされたFFmpegのバイナリ(wget https://johnvansickle.com/ffmpeg/releases/ffmpeg-release-amd64-static.tar.xz
で取得可能)を使用しても動作しない場合があります。以下のエラーが発生することがあります。
ELF binary type "3" not known.
zsh: exec format error: ./ffmpeg
これは、Linux向けにビルドされたバイナリがFreeBSDで認識されず、実行できないことを示しています。そのため、FreeBSD環境に適したバイナリを使用するか、ソースからビルドする必要があります。
以上で、さくらのレンタルサーバーへのFFmpegのインストールと構成が完了です。
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